くらし情報『あの事件の人を独自の視点で描いた、作家の新境地。』

2015年7月20日 22:00

あの事件の人を独自の視点で描いた、作家の新境地。

タイトルにある「ニルヴァーナ」はバンド名で、「涅槃」のほかに「犠牲」という意味も。カバーの人物は女の子にも見えるけれど少年。文藝春秋1500円

タイトルにある「ニルヴァーナ」はバンド名で、「涅槃」のほかに「犠牲」という意味も。カバーの人物は女の子にも見えるけれど少年。文藝春秋1500円

今年この時期の刊行のタイミングにいちばん戸惑ったのは著者本人かもしれない。

窪美澄さんの『さよなら、ニルヴァーナ』は少年犯罪の加害者、被害者と周囲の人々を追った衝撃作。読めばあの14歳の少年による神戸連続児童殺傷事件が題材であることは明らか。しかし、かなり前から温め、連載してきた作品だ。


「2010年に作家デビューした頃、事件記者の経験のある編集者の方と、阪神・淡路大震災やオウムのサリン事件があった‘95年は日本の変わり目だったという話をしたんです。その方は‘97年の少年Aの事件の時に現地取材したそうで、話を聞くうちに静かな町で事件が起きるものを書きたい、と感じました」

その後、東日本大震災が起きた。

「津波が人や家を呑み込んでいく映像を見ているうちに、阪神・淡路大震災の2年後にあの事件が起きたんだと思って。町がひっくり返る様子を実際に見たことは、少年の心に何かしらの波紋を投げかけたのではないかと思いました。‘90年代から今に至るまでの日本を振り返ってみたい気持ちも強くなっていったんです」

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