2018年3月10日 16:00
不妊に悩む夫婦と精子提供者の“危うい三角関係” 賛否両論の結末とは
男性2人と女性1人の危うい三角関係を描いた小説『愛が挟み撃ち』を前田司郎さんが上梓。前田さんに作品への思いなどを聞きました。
「40歳になり、同年代の友人と子どもの話をするようになりました。『もしかしたら自分には精子がないかもしれない』と考えることもあります。それをすぐに小説にしようと思ったわけではないのですが」
あるとき、前田司郎さんは書店で、実際に“挟み撃ちに遭う”体験をした。そのふたつが心に引っかかり、愛と生殖、本能と理性、身体と感覚など、挟み撃ちのジレンマをあれこれ考えるうちに、男性2人と女性1人の物語が浮かび上がってきたそう。『愛が挟み撃ち』で描かれるのは、子どものできない悩みを抱えた夫婦と、ふたりにとって曰く付きの旧友との“危うい三角関係”だ。
「念頭にあったのは、ルー・ザロメ、ニーチェ、パウル・レーの女男男の三角関係でした。
それはニーチェが夢想したようには上手くいかなかった。どうして失敗したんだろう?恋愛には一対一の関係がベストなんだろうか?と考えました」
妊活開始早々、夫・俊介の無精子症が発覚。子どもはあきらめられないが、知らない他人の精子でできた子どもを愛せる自信はないという俊介。