2018年3月8日 16:00
JUJU「ジワッと溢れてくるもの」幼少期に感じた官能とは?
うっとりすることのない大人の生活は、まったく楽しくないと言い切れます。だけど大人になればなるほど、知っているものが増えてくる。はじめて見るものはどんどん少なくなるし、はじめて経験することは減る一方。例えば、美しく完璧なフォルムのシューズを見たとき、子どものころだったら、うわぁと思って、何時間でも眺めていられるほどうっとりできたけれど、いまは、ああ、この靴キレイと思っても、そこまで陶酔できなくなっていることに気づく。昔は手に届かないものだったから、余計にうっとりできたのでしょう。でもうっとりすることに、心を砕いて生活しているほうが、毎日がはるかに楽しいはず。日常的な官能は日常生活の中にあるべきだと思うので、大人として日々官能とともに生きていけたら、なんと素晴らしいことだろう。
官能を語るとき、しばしば「官能の扉が開く」という表現が使われますよね。
それは、すごく言いえて妙で、やっぱり心や体の感覚の扉を開けてあげないと、官能は解放できない気がします。その扉がひとつ開き、またひとつ、そして、3つ、と開くごとに、人生を楽しむ術が増えていくのでは。逆に言えば、うっとりすることを躊躇するほどの愚行はないと思う。