2018年4月1日 11:00
SNSに“未来人”が現れたら「ネット炎上もこんなパターン」あの作家が予測
絵里が彼の生活ぶりを掲示板に書き込むうちに、事態はみるみる膨れ上がり――。
「現実のネットの炎上も、ほぼこんなパターンですよね。ネット民にとっては、真偽をただす以上に、それを肴にみんなで盛り上がりたいというお祭り感が大切。真実はわかってもわからなくても、どっちでも面白いということなんでしょう」
併録の「二人組み」の主人公は、学校や教師の欺瞞や、それにおもねるクラスメイトたちの偽善を冷ややかに見ている中学3年生の本間だ。
「母に言わせると、本間は中学時代の僕まんまらしいです(笑)」
無口すぎてクラスで浮いている坂本ちゃんに性的関心から近づくが、その思いは少しずつ変容していく。衝撃的なラストシーンは、「最初から決めていました」
最近の小説より、近代小説を多く読んできたという鴻池さん。「いちばん好きなのは谷崎潤一郎で、リーダビリティのお手本にしているのは夏目漱石です」
次にどんな球を投げてくれるのかが楽しみな、気鋭の書き手の登場だ。
こうのいけ・るい作家。
2016年に小説「二人組み」で新潮新人賞を受賞、現在は、出版社でのアルバイトと作家業との二足のわらじ。月刊文芸誌『新潮』で新作を発表する予定。