2018年5月23日 16:30
話題作『いつだってやめられる』監督が描く高学歴低収入の現実とは?
ただ、そのときは「こちらでお召し上がりですか、それともお持ち帰りですか?」と「ほかにご注文は?」と「お食事をお楽しみください」と、この3フレーズしか発していなかったけどね(笑)。それから、ミラノのマーケティング業界でも働いていたよ。
では、それらを辞めて映画の仕事に専念できるようになったのはいつ頃ですか?
監督
短編映画を作っている頃は全然収入がなかったから、僕にとっての収入源はそれらの仕事だったけど、2010年に『いつだってやめられる』の1作目の脚本を書く契約をしたことで、ほかの仕事を辞めることができたんだ。
ただ、将来は何が起こるかわからないから、またロンドンに戻って例の3つのフレーズをまた言うかもしれないという覚悟ではいるよ(笑)。
とはいえ、これだけ映画が大ヒットしたので、経済的にはかなり余裕ができたのでは?
監督
いやいや、そんなことはないよ!それに、すごく有名なイタリアの脚本家の言葉で、「映画の危機というのは、脚本家や監督が公共の交通手段で移動しなくなったことから始まった」というのがあるんだ。
つまり、映画に関わる者というのは、つねに庶民のなかにいなければいけないのに、お金ができて自家用車に乗るようになれば、映画の衰退が始まってしまうということ。