2018年5月30日 22:00
脱ぎたてのパンツを貸す!? 『文豪たちの友情』が面白い~
実在の日本の文豪や彼らの作品を、キャラクター化したマンガやゲームが巷で人気。そんな文豪たちの人となりや、作品の魅力を、友情というフィルターを介して浮かび上がらせた『文豪たちの友情』の著者が、石井千湖さんだ。
取り上げた文豪たちの個人全集を、索引や月報にまで目を通し、自伝、随筆、書簡、日記、評伝などあまたの関連書籍も参考に。そこから掘り起こした文豪たちの友情のまぶしいこと。わくわくするような文学エッセイであり、日本の近代文学へのよきガイドにもなっている。
「文豪たちの生涯について、あるいは、文学史的には有名な、谷崎潤一郎と佐藤春夫の細君譲渡事件、太宰治が芥川賞に執着した話など、入門書に載っているくらいの情報は知っていましたが、もとになった文献に当たると、実はもっと複雑で…。一行情報ではわからないことがあるなと、あらためて思いましたね」
芥川龍之介と菊池寛、太宰治と坂口安吾など、13組の文豪たちの出会いから別れまでがまとめられている。
「彼らの関係を履歴書的に整理しつつ、バカバカしくも人間味がある小さなエピソードが好きなので、それは入れるように意識しました」
たとえば、文豪の中でも抜きんでて交友関係の広かった佐藤春夫が、芥川龍之介に脱ぎたての猿又(パンツ)