2018年7月20日 18:00
両親の死と直面。映画『悲しみに、こんにちは』が描く少女の再生物語
そんなふうに子役は脚本を読まずに撮影しましたが、脚本を読んでいる大人の俳優でも、セリフは丸暗記するのではなくて、できるだけ自分の言葉に変えて話してもらいました。そうすることで映画のなかにある自然体というものを見せたかったんです。実際、家族としての自然なふるまいができるように、キャストには2週間くらいずっと一緒にいてもらいながら、リハーサルにたっぷりと時間をかけるようにしました。
自身の経験があったからこそ生まれたラストシーン
―どのシーンも印象的でしたが、なかでもさまざまな思いのこもった涙をフリダが見せるラストシーンは秀逸でした。そこにはどんな思いを込めたのでしょうか?
監督
あのフリダの涙には、いろいろな感情が混ざり合っていると思うんですけど、まずは自分の居場所を見つけて、新しい家族に愛されていることを感じている幸せ。でも、そのいっぽうで、今後もこの生活が続いていくんだという悲しみでもあります。つまり、両親は本当に戻ってこないんだということを理解した瞬間ということです。
なぜ私がこのシーンをラストに決めたかというと、実は私は母が亡くなった日に泣くことができなくて、それがずっと「泣くべきだったのではないか」