2018年9月7日 20:00
チャットモンチーへの愛 西加奈子「私を生かしてくれて、ありがとう!」
と思う。
チャットモンチーの音楽は、「ちょっとだけ死ぬ」必要なんてないんだよ、と言ってくれていた。そんなことしなくても、自分を傷つけなくても、あなたは生きている。まごうことなく、完全に、全身全霊で生の只中にあるから、だから生きているんだよ。そう、叫んでくれていた。
「砂鉄」
「クッキング・ララ」
「惚たる蛍」
「染まるよ」
私は生きている。
「majority blues」
「ウィークエンドのまぼろし」
「例えば、」
生きて、歌を歌う。
「東京ハチミツオーケストラ」
「さよならGood bye」
「どなる、でんわ、どしゃぶり」
熱狂する。
「Last Love Letter」
「真夜中遊園地」
「ハナノユメ」
体中を血がぐるぐると回る。
それは、痛みを覚えるための血じゃない。生きている、
それはもう圧倒的に生きている証拠の血が流れるのだ。
「シャングリラ」
「風吹けば恋」
「サラバ青春」
7月4日の武道館、私たちはみんなで生きていた。
みんなで、ちっとも死なずに生きていた。
チャットモンチーのへその緒に、みんなで繋がっていた気分だ。
確かに彼女たちは「完結」した。そしてそれは同時に、生まれ直す行為だった。