震災の時に、創作を続けられる環境を用意してもらえているのは当たり前じゃないってことを痛感しましたから。
―――他の若い劇団の公演にも頻繁に足を運ばれていますよね。やはり今後の演劇界を担っていかなければ、という思いはありますか。
KERA:演劇界の未来を考える余裕はまったくないのですが、ある部分は担わなきゃいけないのかなとは思っています。…でも、若い人は面白いですよ。というか、僕は基本的に“若い世代がつねに正しい”と思っています。僕が正しく彼らの意図を汲み取れているかはわからないけれど、すでに出来上がっちゃっているベテランたちより面白い若者はたくさんいます。技術が追いついていないためにいまひとつ表現できていないものが多いんですけど、やろうとしているビジョンを汲み取ることはできる。
―――新しいものに出合った時の焦りみたいなものはありませんか?
KERA:ないですね、もはや焦りは。ただ、ウチは代々早世の家系なこともあり、自分は50代までしか仕事ができないと思って、このままではいろんなことをやり残すぞと、そういう意味で焦った時期はありました。でもいま55歳…アラ還(還暦)にもなると、焦っても仕方ないという方向に気持ちも変わってきています。