2018年11月26日 19:00
主人公の痛みに共感…どこか懐かしさを覚える台湾映画の佳作とは?
映画評論ユニット「お杉とB子」が今回おすすめするのは『台北暮色』。
お杉:旅先としても大人気の台湾だけど、映画も良作ぞろい。台湾映画というだけで観たくなる。現代都市を切り取っても叙情が溢れているの。
B子:この作品もまさにそう。庶民の平凡な日々を映し出してるだけなんだけど、そこから登場人物たちのいろんな思いが伝わってくる。
お杉:アパートで鳥を飼う女シュー、大家の息子のリー、アパートの修繕にやってくるフォン。彼らの人生がひょんなことから交錯するわけ。
B子:それぞれワケありなんだけど、大事件が起こるわけじゃない。シューの携帯にジョニー宛ての間違い電話が何度もかかってくるのが気になるけどね。ささいな出来事によって、3人ともが新たな一歩を踏み出すような、踏み出さないような…。
お杉:「ああ、わかる~」っていう余韻がたまらない。プロデューサーを務めたホウ・シャオシェンが「台北の現在の姿を描けたのは、エドワード・ヤン以来」と言うのも納得よ。
B子:都市の風景が、彼らが自覚していない孤独をふわりと立ち上がらせる。その風景がまた絵になるの。
お杉:その味わいは、台北には行ったことない私でも不思議な懐かしさを感じるくらい。