2018年11月29日 18:30
宇野亞喜良が『メアリーの総て』に見るヘプバーンとバルドーに並ぶ女優
という怪奇小説を書いたというのがおもしろいですよね。恋愛するのは当然ですが、その年で結婚したり、妊娠したり、僕の頭のなかにある18歳の少女とはずいぶん違うなと感じました。
―先生には、このメアリーという女性はどのように映りましたか?
宇野先生
たとえば、僕の映画体験のなかでは、アメリカの映画で見た女優オードリー・ヘプバーンがいわゆる「清純な少女」という感じでした。でも、この映画はそういった少女っぽさを出そうとはしていなくて、当時の日常や恋愛の様子がよりリアルに描かれていますよね。
だから、メアリーも「奇妙な小説を書く感覚を持った変わった女性」というよりも、普通に恋愛をした普通の女性だったんじゃないかなと思いました。
―主演を務めたエル・ファニングは、現在世界中の才能ある監督たちのミューズ的な存在でもありますが、ご覧になっていかがでしたか?
宇野先生
実は、彼女の作品は今回初めて観ましたが、まずは「演技力のある女優さんだな」という印象でしたね。それから、いま挙げたオードリー・ヘプバーンもですが、フランスのブリジット・バルドーとか、昔は「これからの10年はこの女性がシンボルになるだろう」