2018年12月25日 19:30
ジブリの名作セル画を一挙公開 他界した“色彩設計”者のワザ
毎年ひとつのテーマを掲げ、アニメーションの新たな見方ができる展示を目指す三鷹の森ジブリ美術館の企画展。11月17日に始まった「映画を塗る仕事」展が早くも評判だ。
アニメ映画の仕事において彩色とは、架空の世界にリアリティを持たせる重要なパート。特に動く絵に塗られた色は、限られた色数でも工夫によって、キャラクターに生き生きとした存在感を与えるばかりか、その心情までもリアルに伝えてくれる。
「スタジオジブリでは『もののけ姫』を最後に、セル絵具での映画制作が終了。もう20年以上経ちました。数年前、展示替えのため過去のセル画を整理したところ、1枚のセルに何十もの色をひとつひとつ手で塗ってある緻密な仕事ぶりを改めて見て、館長が驚き、この偉業をぜひ紹介しようと、今回の企画展が決まったのです」(広報部・机ちひろさん)
本展では、高畑勲監督や宮崎駿監督が目指した“登場人物の日常生活を丁寧に描くことから生まれる豊かな画面作り”を、大小のパネルと実際のセル画、映像でも紹介する。
例えば、時刻によって変わってゆく色、光と影、自然光を効果的に使う方法、植物の描き方など、細部にまでこだわった彩色への工夫が、展示には惜しみなく公開されている。