2019年1月8日 20:00
話題の美術教師“イトウハジメ” 最新作はインスタ発のマンガ
中学生との日々を切り取り、多くの共感を呼んでいる現役美術教師、イトウハジメさんの3作目『放課後のオレンジイトウ先生の美術ノート』は、本人いわく「瞬間」を意識している。
「笑いやかわいさもそうですが、本作はネガティブな面も好んで含めていきました。背伸びしたり、幼さを見せたり、忙しいところがこの世代ならではの魅力だと思います。男子のギャグセンスの高さとか、女子の圧倒的に大人びた言動とか、振れ幅の大きさに日々笑っています」
切り取られている「瞬間」は、何かとややこしい中学生の頃、誰もが通り過ぎてきたような風景なのだが、その“取るに足らなさ”の積み重ねが、かけがえのない時間であったことに気づかされる。イトウさんは「はじめに」で、マンガともエッセイともいいがたい「なんとも分類しにくい本」と断っているのだが、それにはこんな意図があった。
「自分の考えるマンガと本作の違いは、登場人物です。マンガは読むほどに登場人物の個性が光って、何かを得たり、謎が解けたりします。一方、この本では、いつまでも人物の曖昧さが解けないし、話のゆくえも不透明なままなので、ちょっと不思議な感覚が残るような気がします」
多くのエピソードがたった2ページで展開するのも、不思議な印象を後押ししているだろう。