2019年1月15日 19:00
辺境を旅する写真家・石川直樹 20年の旅の写真展がフィナーレ
「特に標高8000m以上の場所では、一挙一動が生死に直結します。だから、自分のすべてを使い果たしてしまうんですよね。この感覚は、説明できるものじゃない。それでも、自分の写真や言葉で、誰かが少しでも追体験してくれたらと思います」
それにしても、なぜ彼はこれほどまでに過酷な経験をしながらも心折れず新たな旅へと進めたのだろうか。
「新しいものを見てみたい、知らないものを知りたい。そんな純粋な好奇心だけです。今はネットでどんな情報も入手できる時代だけれど、実際に体験しなければ旅の深さは測れない。好奇心を持ち続けるには、知っているつもりにならないこと。
例えるなら赤ちゃんみたいな感覚で、手探りで地球を探検するのがいい」
石川さんが現地での撮影に使う機材は今もフィルムカメラ。ズームレンズを使用しないので、被写体に寄るには、自ら近づくしかない。
「いいと思うものに体が反応する。気持ちが揺り動かされたものの前で、見たままを撮る。そうして生まれた作品は、自分にしか撮れないから」
「K2」(2015)
本展ではテントを利用した映像作品の展示もある。
いしかわ・なおき1977年生まれ、東京都出身。