2019年1月25日 20:00
誰にも興味を持てない男の子と、誰とでも寝てしまう女の子を描く漫画とは?
「イメージしたのは、3.11直後の東京でした。原宿に遊びに行ったらデモに巻き込まれてしまった経験があるのですが、今までと違う街の感じが印象に残っていたんです」
あのときデモにのめり込む人もいれば、その流れについていけない人もいた。共に何かに流された結果なのだろうが、セッちゃんたちを見ていると、非常時でも生活そのものはなくならないし、人はそう簡単に変わらないことを思い知らされる。
「坂口安吾の小説を読んでいると、戦争中だけどいろんな男の人と遊んでいる女の人が出てきたりして、なんだか楽しそうなんですよね(笑)。そういう人を当たり前の存在として描きたかったんです」
一からマンガを描く方法がわからないからと、まず小説の形にしてからマンガに描き直したという本作。
「次回作のことはまだ何も考えていません。物事を真剣に見ないとマンガは描けないと感じたので、まずはちゃんと生きたいと思っています」
『セッちゃん』誰とでも寝てしまう女の子・セッちゃんと、誰にも興味を持てない男の子・あっくん。交わらないはずのふたりのかけがえのない時間を描いた心にしみる物語。
小学館1000円©大島智子/小学館
おおしま・ともこイラストレーター、映像作家。