2019年1月31日 18:00
5年後なら日本も!? 仏で「黄色いベスト運動」が起こる理由
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「黄色いベスト運動」です。格差社会の膿が噴出するフランス。将来、日本でも?
フランスでは、昨年11月から9週連続で、毎週土曜日にマクロン政権に反対するデモが開かれ、参加者は8万4000人にのぼりました。発端は、燃料税の値上げ。アメリカはトランプ政権になり、パリ協定を離脱するなど、環境問題に後ろ向きの姿勢を示しています。先進国として、フランスは率先してCO2の排出量を減らす対策を立てようと、燃料税を上げ、国民に電気自動車への乗り換えを促そうとしたのです。ところが、多くの国民にとって電気自動車は高額なため買えません。
そこで、黄色いベストを着て、政策に反対の声を上げました。参加した人たちは、月収25万円前後の労働者や年金生活者。毎月ギリギリの生活を送っている、パリ近郊に住む人たちでした。
彼らが政権を非難した理由はもう一つ。フランス政府が高額資産者に対して課していた富裕税を取り払ったからです。しかし、政府からすれば、富裕層がタックスヘイブンに逃げ、多額の税収を取り損ねないためには、ある程度の優遇もやむを得ないんですね。