2019年2月11日 17:30
神田松之丞「辛いことこそ話す」 ラジオ番組の“神回”誕生秘話
なのにいざ自分が出る番になって物怖じしてたら、それはウソになる。もうひとつ、僕はあくまで講談師として活動していて、これからも講談師を続けていくつもりなので、番組に出ることが本業ではない。芸能プロダクションにも入っていないし、事務所絡みの忖度もない。ほかの方と比べて、圧倒的に自由なんです」
別の世界に身を置いているからこそ、できることは多いのだと。
「そういう意味で、今の自分の原点だったなと思う人がいまして。森本平という歌人です。彼は歌壇のホープとして作品を発表しながら、僕の高校で国語の教師をしていました。よく学校の壁に『ゴミはゴミ箱へ』という標語が貼ってあるじゃないですか。
すると彼は『おれはゴミみたいなものだから』って、ゴミ箱に入って授業をやったりするんです。こうして話すと奇をてらっているようにしか思えないけど、当時は『この人は本音でやってるな』って感じました。それで彼の作品集を読んでみたら、当時はガングロギャルが流行っていて、女子高生をガスバーナーで焼いてガングロにする、みたいなことを歌っているわけですよ。短歌に興味のない人のところまで降りていき、刺激的な内容で興味を惹きつける。そうやって自分の名刺を配る。