2019年2月11日 17:30
神田松之丞「辛いことこそ話す」 ラジオ番組の“神回”誕生秘話
伝えづらいツールで言い合っている」
『問わず語りの松之丞』の中でも神回として語られているのが、出産直後の松之丞さんの妻が自宅で倒れた日のことを、ときにユーモアをはさみながら、その緊張感を見事な話芸で伝えた回だ。
「あの日は本当に追い詰められました。血を流して倒れる妻と、傍らには泣き叫ぶ生まれたばかりの赤ん坊。でもそんな状況の中、どこか俯瞰している自分もいた。これは伊集院光さんのラジオで学んだことでもありますが、辛いことがあったときこそ、その詳細を自分の番組で話すっていう。この出来事をどう話そうか、どうしたら面白くなるか、目の前の現実に面食らいながらも、頭の片隅ではラジオの構成を思い浮かべていました。妻が無事だったから、ネタにできたというのもありますが」
私たちが、話芸を身につけるにはどうしたらいいのでしょうか?
「そんなの身につけなくていいんですよ。誰もが上手に言葉を駆使できるようになる必要なんてない。
必要な人なんてそもそもいない。私も発展途上で、ラジオで色々な人に怒られている。それに国民全員が僕みたいに何も恐れずものを言うようになったら、それこそ日本は終わりでしょう」
かんだ・まつのじょう1983年生まれ、東京都出身の講談師。