2019年2月14日 19:30
岡崎京子、楳図かずお… “名作マンガ”の魅力語るガイド的一冊 作者のマンガ遍歴も
文芸評論や編集者として知られる仲俣暁生さん。意外にも学生の頃は、マンガ評論家になりたかったのだとか。
新刊『失われた娯楽を求めて』では、そんな著者が数々の名作マンガを論ずる。といっても堅苦しくなく、分かりやすく魅力を伝えてくれるガイド的な一冊だ。
「10年ほど前に書いたマンガ論と、最近書いたものをまとめました。編集者に薦められて読んだ作品もあるので、僕の好みに偏っているわけではなく、結果的に間口の広い一冊になったと思います」
岡崎京子、楳図かずお、安野モヨコ、島本和彦、藤田和日郎、衿沢世衣子、渡辺ペコ…。各論の中で別の作家にも言及され、結果的に登場する作家・作品数は多数。女性作家が多いのが印象的だが、
「僕は学生の頃『別冊マーガレット』を買っていましたが、『少年ジャンプ』を買う女の子もいた。
へだたりなく男子も女子も同じマンガを楽しめた時期って、戦後民主主義の中で小春日和のいい時期だった気がします。この本のタイトルには、そういう意味も込められていますね」
まえがきでは1964年生まれの仲俣さんのマンガ遍歴が語られ、「ニューウェーブ」の登場など、日本のマンガ史の一端として読める。
「本にまとめるにあたってひとつ背骨を作ろうと思って、ちょっと長いまえがきを書いたら、個人史になっちゃって(笑)。