2019年5月11日 10:00
はだけた胸元も…ヤバい傑作がウィーンから来日!『クリムト展』
その後、市立劇場の天井画や壁画、ウィーン美術史美術館の壁面装飾などを手がけながら力をつけて、ウィーンを代表する画家となっていきました。
クリムトといえば、金を使った装飾的な絵画が有名ですが、初期のころはアカデミックで古典的な絵も描いていました。会場では、最初期に描いた男性裸体の習作や銅製彫金のレリーフなども見ることができます。
エロティックな傑作
1897年、ウィーンの保守的な芸術団体から脱退したクリムトは、「ウィーン分離派」を結成。初代会長となり、個性的な作品を手がけるようになります。そのころに描いた傑作が、この展覧会のメインビジュアルとなっている傑作《ユディトⅠ》。
半開きのうつろな目や口元、はだけた胸元などの描写がかなりエロティックで、薄暗い展示室でこの作品と向き合うとドキドキします。東京都美術館の学芸員、小林明子さんの解説によると、「1900年以降、およそ10年間はクリムトの黄金様式の時代と称され、金箔をはじめ、金の表現を非常に洗練させていった」とのこと。この金箔は、日本美術からの影響も指摘されているそうです。
また、ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館の学芸員、マークス・フェリンガーさんによると、この作品には「女性のエロス、生身の身体と彩る装飾品など、クリムトの代名詞となっている要素が含まれている」