くらし情報『夢の中の不倫が現実を脅かし…官能短編集『私のことならほっといて』』

2019年7月28日 21:00

夢の中の不倫が現実を脅かし…官能短編集『私のことならほっといて』

官能という言葉を、セックスをするという狭い世界から解き放ち、読者の五感をくすぐるように描き出す田中兆子さん。『私のことならほっといて』は、恋人に裏切られた若い女性の小さな復讐とカタルシスの物語「歓びのテレーズ」や、娘の視点から母の愚かで一途な愛を描く「薄紅色の母」など、少女から大人までを主人公にした7つの短編集。

女性たちがふとした瞬間に触れる、自分だけの“官能”を描く短編集。
夢の中の不倫が現実を脅かし…官能短編集『私のことならほっといて』


「文芸誌の官能特集などに寄稿したものをまとめました。そのつど編集の方といろいろやりとりしながら、百合風あり、ディストピアものありと、いろいろなテイストに挑戦できて楽しかったです」

表題作で描かれるのは、人妻の破滅的な恋。〈私〉はダブリンの街で見知らぬ男性に心惹かれるが、それは夢での逢瀬。しかし、その夢の中で続く不倫は、やがて平穏だった日常生活を侵食し始めて…。

「私も、子どものころからの妄想グセが夢でも続いて、何日も何年も続くシリーズドラマのようになってしまったことがあります(笑)。
私の場合、創作のきっかけとして、記憶はまるで頼りにならない。なので、妄想や夢や偶然見かけたニュースなどがごっちゃになって、それがふと立ち上がってくる感じです。

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