2019年7月31日 19:30
夫を亡くした女性は…インド階級差別社会の「悲惨な現実」
つまり、変化は始まっているけれど、この問題の解決についてはあまり進んでいないということね。
それは階級だけではなく、問題が複雑化してしまっているというのも理由のひとつ。というのも、いまは農業の衰退によって、田舎から都会へと働き口を求めて出てくる人が増えているのだけれど、低賃金であるからスラムのようなところが都会に増えていて、格差が大きくなってしまっているのよ。そういった問題すべてに対して、いっぺんに立ち向かうことができないというのもあるのじゃないかしら。
―確かに、インドにはいくつもの問題があることを感じさせられました。なかでも、ラトナがある洋服屋さんから追い出されるシーンには驚かされましたが、その裏にあるものを教えてください。
監督あれは、極端な階級差別主義というのを端的に表しているシーン。日本の方にはわからないかもしれないけれど、インド人から見ると、ラトナの髪の結い方やサリーの素材、歩き方などでお店にはそぐわない客であることがすぐにわかるのよ。
例えるなら、パリにある高級メゾンの本店にボロボロのジーンズで入るのと同じことね。
―そういった階級はどのようにして決められてしまうのでしょうか?
監督ここで描いている階級というのは、昔からあるカーストのことではなく、低賃金の仕事にしか就くことができずに見下されてしまうことによって生じる階級のこと。