2019年8月23日 18:30
『かもめ食堂』の荻上直子が新刊 ワケありな人々の“涙腺刺激”物語
2017年、日本人初の「ベルリン国際映画祭テディ審査員特別賞」に輝いた『彼らが本気で編むときは、』をはじめ、『かもめ食堂』『めがね』など、ヒット映画を生み出してきた荻上直子さん。このたび、自らの脚本をもとに書き上げた小説が『川っぺりムコリッタ』だ。
川沿いの風変わりなアパートに集う、優しくて不器用な人々の幸せ探し。
誰とも関わらず、ひっそりと生きていくのだという虚無感を抱えたムショ帰りの山田。孤独な暮らしが始まるはずが、住まいを、昭和の匂いを漂わせた川沿いの「ハイツムコリッタ」に決めたことで、住人たちとの思いがけない出会いが生まれて…。
「山田の人物像やストーリーのヒントは、いくつかのきっかけが重なったことでした。何年か前に見た、カフェ難民のドキュメンタリー。知人の孤独死を知ったことも大きかったですね。
貧困、虐待、孤独死など、自分とは遠いものと思っていた事柄が、案外身近なことかもしれないと感じるようになったんです」
「ムコリッタ」という風変わりな呼び名のアパートに住んでいるのはみなワケありな人々。大家の南さんはシングルマザー。場面緘黙(かんもく)症の子どもとふたり暮らしの溝口親子。