2019年8月23日 19:20
「日本のアニメには誰も到達できない」フランスアニメ界の巨匠が語る理由
(笑)
それよりも大変だったのは、最初の頃にプロデューサーも資金を出してくれるテレビ局も誰も見つからなかったことです。ただ、そういう状況に反して、パリの美術館や役所の方々がもろ手を挙げてこの企画に賛成してくれたことによって助けられました。
そのおかげで、美術館の休館日にひとりで中に入らせてもらって、好きなだけ写真を撮ることを許可してもらえたり、オペラ座の地下から屋根裏だけでなく、普段立ち入りが禁止されているところやパリの下水道にも入ることができました。
だから、私自身は背景となる写真をとても楽しく撮り収めていましたし、ここの景色が足りないと思ったらカメラを持って外に出る、ということを繰り返していただけなんです。
私はいまの時代も悲観的にはとらえていない
―監督から見て、ベル・エポックの時代にあって、いまの時代に失われてしまったものは何だと思いますか?もし、私たちが取り戻すべきものがあれば教えてください。
監督フランス人をはじめ、悲観的な人がいまの世界には多いですが、私は悲観主義者ではありません。というのも、すべては相対的だと私は思っているからです。たとえば、フランスも日本もいまは平和だし、ヨーロッパの歴史のなかで70年もの間戦争が起こっていないというだけでも、すごいことですよね?
それに、私はパリに住み、豊かに生きている実感がある自分の運命にとても満足しているのです。