2019年9月2日 19:00
五輪後の日本はどうなる!? 直木賞・森絵都の新作『カザアナ』
「『みかづき』を書いた時に、知人に“ギャグが足りない”って言われたんです。ですから、今回は全力でギャグを入れました(笑)」
とはいえ物語は少しずつスケールを広げ、謎のゲリラ組織と対峙した上、しまいには国家間の問題にも首を突っ込むことに…。入谷家の3人もそれぞれ奮闘するわけだが、
「家族だから一緒に行動する、という流れにはしたくなかったですね。一人一人が自分の目的で動くようにしたかった。自分の意思で決めて行動することが大事ですから」
カザアナ=風穴という言葉に、様々な意味が感じられる本作。
「私の中に、いつも“抜け道”のイメージがあるんですよね。生きづらい世の中で萎縮することがあっても、抜け道はどこかにあるって思っている。今回はそれがカザアナという形になりました」
ちなみに森さんは、もしカザアナだったらどの能力が欲しいですか?
「うーん。
草読かな。胃腸の調子が悪い時にどの薬草を飲めばいいか分かる程度の力がいいです(笑)」
もり・えと1990年「リズム」で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。児童文学の賞を多数受賞するなか一般文芸も執筆、2006年『風に舞いあがるビニールシート』で直木賞受賞。