2019年10月8日 20:30
白石和彌、映画業界を目指したきっかけは“エロいもん見たさ”?
そこで、じゃあ1本だけ撮って、それでやめようって思ったんです。それが、30歳くらいのときかな。
――1作目『ロストパラダイス・イン・トーキョー』は、34歳のときの作品ですね。4年のブランクがありますが…。
白石:そう、そこからがさっきちらっと言った暗黒時代です。助監督やめて収入がほぼなくなり、でも子供が生まれたり。嫁に「稼いできてくれ」って怒られたり(笑)。
――でも、1本撮ってもやめなかったから、『凶悪』が生まれたわけですよね。
続けたのはなぜ?
白石:1本目を観て、「白石さんと映画を撮りたい」と言ってくれた人がいたんですよ。それが『凶悪』のプロデューサーなんですけれど。あとは、やっぱり観客の皆さんですね。何度も観に行ったと言ってくれた人や、この映画を観て、映画のスタッフになった人もいた。あんな小さい映画でも、誰かの人生を変える力があるんだということが実感できて、それが大きな勇気になりました。
――白石さんの、助監督時代を経ての今って、『情熱大陸』とかで描かれそうな感じもありますが…。
白石:いや、それはちょっと…(苦笑)。どっちかっていうと僕は、ああいう成功者をキレイに描くドキュメンタリーよりも、“日曜2時の『ザ・ノンフィクション』”のほうが好きな部類の人間なので(笑)。