2019年10月23日 21:30
死人の肉体を調理して食す…村田沙耶香の衝撃的な短編集『生命式』
寝る前に読むお話なのでグロテスクな描写は避けたのですが、薄気味悪い話になってしまいましたね(笑)」
表題作「生命式」は2013年発表。亡くなった人の肉体を調理してみんなで食すという儀式が描かれる。
「こんな変なことを書いたら怒られるかなと思い、おそるおそる締め切りより半月ほど早く提出したら、担当編集者さんがノリノリで、参考にと料理の本を送ってくれました(笑)。他にも受け入れてくれている人が多くて、小説ってなんでもできるんだなってしみじみ感じて、転機になりました。ここから『殺人出産』や『消滅世界』に繋がっていきました」
死んだ人間の毛髪や骨を服やインテリアに使用することが当たり前となった社会が舞台の「素敵な素材」、文化や環境による食生活の断絶をブラックなオチで語る「素晴らしい食卓」。読者がぐっと身近に感じるのは「孵化」なのでは。幼い頃から、所属するコミュニティによって異なる人格を演じてきた女性の物語だ。「私も子どもの頃は今より内向的で、でもバイト先では“しっかり者”、友達からは“ほんとにアホ”と言われたりしてきました。
そうすると、みんなと繋がるFacebookで、どの人格の文体で書いたらいいのか分からなくて。