2019年10月25日 20:30
器作り×恋模様…小玉ユキの漫画『青の花 器の森』の魅力
本作は器自体も主役といえる。龍生の作った形に青子が絵付を施す共作の器も登場するのだが、その生みの苦しみまでは想定外だったようだ。
「新しい器を作るストーリーのたびに、マンガ家というよりプロダクトデザイナーみたいな気持ちになっています(笑)。ふたりの意見が重なり合うような柄や形を考えるのが、すごく大変で。だから青子がアイデアを思いつくシーンは、リアルに表現できている気がしますね」
さらに小玉さんが予想外だったのが、龍生の変化。当初は過去作では見たことのないような“イケメンだけど嫌なヤツ”だったのに、お茶目な部分がどんどん出てきて、青子と同様、読者もキュンとしてしまうはず。そんななか、3巻では何やらワケありな男が青子を訪ねてくる。
「新たに登場する男性は、性格も熊っぽい風貌も、龍生以上に今まで描いたことのないタイプです。
誰の目線で読むかで結構賛否があるみたいなのですが、私としては愛情を持って、楽しんで描いています」
今後も登場人物の新たな一面が、まだまだ見えてきそうな予感。ものを作るときめきと、恋のときめきがシンクロする爽やかな作品だ。
『青の花 器の森』3波佐見焼の窯元で作陶に励む男女を通して、大人の恋ともの作りの喜びを描く。