2019年11月11日 20:30
息子が男性好きだったら…母親目線で描く『うちの息子はたぶんゲイ』
「父親は、普通によしとされていることを疑わない人。ごく一般的な視点のつもりなんですけど、事情を知っている側からすると、こんなにもきつい言葉になるというのを一身に体現しているキャラクターですね」
父親の言動はセクシュアリティの問題に限らず、自分の思い込みや常識が他者を傷つける可能性があることを教えてくれる。そんな父と長男の傍らで、感情の読めない中2の次男がいろいろ察しているっぽい描写もまたよくて……。全体的には軽やかなノリで、好きな人への思いがダダ漏れしている息子や母親の大きな愛に、笑ったり優しい気持ちに。そして時折、ハッとさせられるエピソードがスパイスのように入り込む。
「大きな問題提起をするつもりはまったくありません。ゲイを題材にすると苦悩やつらい部分がフィーチャーされがちだけど、単純に明るい話があってもいいと思うんです。みなさんと一緒でゲイの人も普通に生きているし、そういう状況を想像するきっかけになれば、この物語を描いた意味があるのかなと思います」
『うちの息子はたぶんゲイ』140歳の母・知子の視点で、ゲイかもしれないうっかり者の長男、何となく気づいているっぽい次男、優しいけど鈍感な夫を描く、家族コメディ。