2020年1月11日 20:00
「公認不倫」も“8割のおしゃべり”から? 漫画編集者・上村晶の仕事論
そこで、よりエンタメにふるということを意識しました。ペコさんの作品には、品と、深い心理描写があるから、スキャンダラスな題材を使っても下品にならない。そこを信頼しているからこそできたことです。“もっとベタに”“引きを強く!”と編集者が全員言うようなことを言っていました(笑)」
作家さんは十人十色だからこそ、相手を知ることを大事にしている。
「一番好きな作業は打ち合わせです。作品について話す時間もあるけど、私の場合は8割おしゃべり(笑)。でも、これがどうも無駄じゃないという確信があるんです。昨今の社会で起こっている問題や流行りの話題、オタク話について聞きながら、相手の考えや思考、嗜好、違和感や怒りみたいな感情をどういう時に持つのか、そういう全体をひっくるめて作家さんを知ることが、信頼関係を作るうえで大事だし、作品創りに生きている気がします。
作家さんの洞察力や言語センス、着眼点、そして、そこから生まれるきらめきは、私からは絶対に出ないもの。それを出しやすくするため、土地を耕し、水をあげるのが私の作業かなと」
最近は、社会とのコミットを考えるようになったという上村さん。創りたい作品の傾向にも影響が。