2020年1月11日 18:30
役者が憧れる名優・藤竜也、いまでも緻密な役作りを続ける理由
―そのことを知っていた近浦啓監督は、撮影が近づいているにもかかわらず藤さんに渡すまでに何度も脚本をリライトされたそうですが、つまりその時点でも納得できなければ、お断りされていたということでしょうか?
藤さん断っていたでしょうね。僕の役は、中国人の青年が日本で切ない青春を送っている様子を見つめている日本のおじいちゃんでしたが、それがロマンティックでいいなと感じたんです。なので、以前もご一緒している近浦監督の作品だから、今回も出ようと思ったわけではなく、脚本がよくて、自分が感じるものがあれば、僕はどなたの作品でも受けますよ。
―では、実際に完成した作品をご覧になったときの印象はいかがでしたか?
藤さん僕が出ている日本のパートに関しては、脚本を読んだときと同じようなイメージでしたが、中国でのシーンやチェン・リャンが仲間とアパートにいるシーンから醸し出される不思議でエグさのあるエネルギーは新鮮でした。特に、中国のお母さんやおばあちゃんとのイマドキらしくないやりとりも、日本とは違うパワーがあっていいなと思ったところです。
とにかく必死でそば打ちに取り組んだ
―確かに、日本と中国のパートでは、空気感がまったく違う印象を受けました。