2020年1月11日 18:30
役者が憧れる名優・藤竜也、いまでも緻密な役作りを続ける理由
その手順ができるようになると、背中がそれっぽく見える状態になるんですよ。なので、たとえば困っちゃうのは、警官の役。「俳優なんですけど、制服を着て一緒に仕事させてもらえませんか?」なんて警官に言ったらひっぱたかれますよね(笑)。
そうなると、想像しながらやるしかないですが、職人の場合は実際に取り組むことができますし、練習することで自信もつきますから。
マニアックな役作りをすることを楽しんでいる
―今回はキャラクターの背景もご自身で考え、ワードにまとめて監督に送ったそうですが、いつもそのような役作りをされているんでしょうか?
藤さんそうですね。この役については、年老いたそば職人になるまでの道のりを自分で作りました。弘はチェン・リャンの痛みをさっと受け止めることができる人物ですが、それは本人も青年時代に相当の痛みを味わい、たくさん失敗しているからこそ。痛みがわかる男になるようなバックグラウンドを自分なりに考え、子ども時代までさかのぼって、つじつまが合うようにしました。
なので、「10歳くらいで父親と離別して、母親の実家に預けられ、母親が再婚してから引き取られるんだけど、そこに新しい兄弟が生まれて、その後は大田区あたりの町工場で一生懸命働くんだけど……」