2020年2月27日 20:40
「日本にも貧困は存在している」世界が注目する監督が訴えたい思い
つまり、こういった地域というのは隠された場所。政府としては、華やかで、ショッピングが楽しめて、高級ブランドもあって、おいしいワインやチーズがある国というフランスのイメージを植え付けたいという思惑がありますからね。
―どこの国にもそういうところがあるのかもしれません。ちなみに、これまでのドキュメンタリー作品でも、暴動の様子を間近で捉えていたりしていますが、ご自身が危険な思いをしたことは?
監督住民同士で危険な目にあったことはありませんが、警官との間では危険なこともありましたよ。たとえば、パンを買いに行っただけなのに、その途中で職務質問をされて、そこから事態が悪化するとか……。なので、住民からではなく、警官から挑発されることのほうが多いように感じています。秩序を乱している元凶は、実は警察だったりするものなんですよ。―劇中でもそのような様子は見て取れました。
とはいえ、この作品を鑑賞したマクロン大統領もこういった貧困地域の生活条件を改善するように働きかけているそうですね。実際に何か変化はありましたか?
監督いえ、まだ何も動き出してはいないと思いますよ。カンヌ国際映画祭で賞を獲ったあとに、マクロン大統領にも作品を観てもらうことができ、閣僚に指示を出したというところまでは聞きましたが、ちょっと時期尚早だったかもしれません。