2020年3月29日 19:00
“思わせぶり感”が大事? 色っぽい文章3つの特徴を編集者が解説
言葉や文字によって表現される、色気。その秘密について、新潮社編集者・西山奈々子さんにお話を聞きました。
文芸編集者が考える、色気を感じる文章の秘密。
語られない部分を想像する、行為そのものが色っぽい。
女性作家の登竜門として知られる、「女による女のためのR-18文学賞」。事務局を担当する西山さんは以前ノンフィクション雑誌にいたそうで、異動当初はノンフィクションと文芸の表現の差を感じたと言います。
「ノンフィクションの文章は、物事を正確に伝えることが第一。一方、文学は、何を書いて何を書かないか、そのメリハリが大切だと思います。
厚みをもたせて描写される部分と、何かあるはずなのに一切描かれない空白の部分、そのコントラストが読者の想像を掻き立てる。よく“行間を読む”といいますが、色気はこの“行間”からこそ匂うのでは」
“この文体の文章が色っぽい”などの定型がないところも、文章表現のおもしろさ。
「私は川上弘美さんの音にしたときの響きが豊かな文章に艶っぽさを、三島由紀夫の文章には耽美な色気、宮沢賢治の文章には抑圧された色気を感じます。ぜひ本を通じて、多種多様な色気と出合ってほしいですね」