2020年4月2日 18:30
『洋食 KUCHIBUE』店主・坂田阿希子「噴きこぼれていてこそグラタン」
と。最初は「まさか」とスルーしました。私、料理家になろうと決めた20代の初めから約9年飲食店で修業していたんです。その時、お店の素晴らしさと同時に厳しさも目の当たりにして。生半可な気持ちでレストランはできない、とずっと思ってきたんです。
――けれど、あえて挑戦を決めたのはなぜでしょう。
坂田:ふと「もし私がお店をやるなら」と考えてみたら、やりたいことが鮮明に浮かんできたんです。洋食、それも日替わりでメニューを絞って、内装は誰が来てもくつろげる感じにして。
なによりこんな素晴らしい物件に出合えるチャンスは二度とないかもしれない。それで「やろう」と決めました。
――瞬発力がすごいですね。坂田さんは、フレンチも和食もエスニックもと、あらゆるジャンルをこなされますが、その中で洋食に絞られたことにも驚きました。
坂田:小さい頃から洋食が大好きなんです。新潟県の実家の近くの、家族で通い詰めたおいしい洋食店の料理と、母がよく作ってくれた料理。そうしたものがルーツになっているのだと思います。
――今日のメインは、マカロニグラタンとビーフストロガノフですね。
ビーフストロガノフ、お肉のうまみと華やかな香りのソースがたまりません。