2020年4月2日 20:30
朝井リョウ「“全力下僕”で書きました」 作家生活10周年本はタイアップ作品集
「両さんを登場させたら、もう勝手に行動して事件を解決してくれるんですよ。作家がよく言う“登場人物が勝手に動く”というのを初めて体験しました。しかも自分じゃない人が作り出したキャラクターで」
思わぬ仕掛けとしては、
「基本的には、登場人物の名前にその会社の会長や社長の名前を使っています。社内ウケが欲しくて」
と、読者、商品、クライアント全方向にサービス精神を発揮。
「タイアップは“やりまっせ!”という意識に変わって、つい“全力下僕”をやっちゃうんですよね」
ただし最後の書き下ろし「贋作」は、まったく異なる読み心地。
「頭にあったけれど出しどころがなかった話を書きました。自戒を込めて書いています」
昔から「怒り」が執筆の原動力と語っていた朝井さんらしい一編だ。
「今後は“怒り”がマイルドな名前に変わりそうな気がします。
でも“読んで幸せな気持ちになれた~”という小説を書けるようになるまではまだ時間がかかりそうです」
あさい・りょう1989年生まれ。2009年に『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。’13年に『何者』で直木賞、翌年『世界地図の下書き』で坪田譲治文学賞受賞。