くらし情報『子どもを持つ意味とは? “女性の苦しさ”描く『犬のかたちをしているもの』』

2020年4月10日 19:00

子どもを持つ意味とは? “女性の苦しさ”描く『犬のかたちをしているもの』

郁也とミナシロさんは金銭を介した性のみの関係で、ふたりの間に愛はない。それでも、薫の気持ちは千々に乱れる。

また、ミナシロさんの数々の言葉にハッとする読者も多いだろう。たとえば〈わたしは子どもを育てないけど、産むわけだから、なんか、クリアした感じ〉。出産も、女性自らが望んで、というだけでなく「なんとなくそうすべき」と思いがちなことだ。女性というだけで、当たり前のように課されてきた役割やタスクへの違和感を問いかけてくる。

「子どもの頃から友だちが『いつか結婚したい、子どもが欲しい』と無邪気に言うのがよくわからなかったんです。それは自分の親とかを見ていて、ひとつの理想として『あんな人生が欲しい』という意味なんでしょうが、『子どもがいる人生が欲しい』と『子どもが欲しい』は、重なる部分はあっても、実は別の話という気がするんですよね」

本書には、女性にとってのたくさんの問題提起が含まれている。


「読者からの感想を見て、確かに女性の苦しさを書いていたのだとあとから気づきました。これからもそうしたテーマで書いていきたいです」
子どもを持つ意味とは? “女性の苦しさ”描く『犬のかたちをしているもの』


たかせ・じゅんこ1988年、愛媛県生まれ。立命館大学文学部卒。

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