くらし情報『『ミス・サイゴン』の伊礼彼方「僕自身、差別を受けて…」』

2020年5月3日 19:30

『ミス・サイゴン』の伊礼彼方「僕自身、差別を受けて…」

ベトナム戦争を題材に、現地の少女・キムとアメリカ兵・クリスとの悲恋を描いたミュージカル『ミス・サイゴン』。’92年の日本初演以来、高い人気を博す大作に、今回からエンジニア役で参加する伊礼彼方さん。
『ミス・サイゴン』の伊礼彼方「僕自身、差別を受けて…」


「長く市村(正親)さんが演じられている役だけに、当初は30代の自分にはまだ早い気がしていました」

本人はそう言うけれど、昨年のミュージカル『レ・ミゼラブル』ジャベール役の重厚感ある演技を観れば、そんな心配はまったくの杞憂。むしろ、戦時下に小ずるく立ち回りながら、作品の狂言回し的役割も担うキャラクターは、エネルギッシュないまの伊礼さんに適役なのでは?

「自分の武器になるとしたら、アイデンティティが近いというところ。エンジニアはベトナム人とフランス人との混血です。僕自身、生まれたアルゼンチンでも差別を受けて、日本に来てからは外人と言われてきました。混血児の悲哀とか必死に居場所を求める場面に説得力を持たせられるのかなと思っています」

戦争の混乱でクリスと離れ離れになり、ひとりで息子のタムを産み育てるキム。それを知ったエンジニアは、タムを利用してアメリカ行きの切符を手に入れようと奔走する。


「それまで迫害に遭い、混血の自分を否定して生きてきた彼が、アメリカ兵との混血であるタムに希望を見出す。

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