2020年4月23日 20:30
偽アカウントの創作活動にざわつき…詩作をめぐる高校生主人公の小説
詩の投稿に熱中する男子高校生のストーリーを描いた小説『坂下あたると、しじょうの宇宙』の著者・町屋良平さんに作品に対する思いを聞きました。
詩作に懸ける男子高校生ふたりが友情や才能をめぐり、問いかける。
佐藤ダブリスという筆名で詩の雑誌や小説投稿サイトに自分の詩を投稿していた高校2年生の佐藤毅。彼のそばには、毅が天才的な文学的才能の持ち主だと信じてやまない親友の坂下あたるがいる。ふたりが投稿しているサイトやSNSでもあたるはちょっと知られたスターだ。
「そのあたるの言葉に刺激されて、毅も詩を作ります。ただ、その後、彼らの関係がどう変わっていくのかは僕自身もわからないまま、書き進めました」
ある日、小説投稿サイトに〈坂下あたるα〉というあたるの偽アカウントが登場してくる。本家の作品やレビューの中の言葉を少しだけ変えてアップするという行動を繰り返す偽あたるの存在によって、ネット界隈はざわつき、毅とあたるの関係までもがぎくしゃくし始め…。
「AIに作品を乗っ取られる事件が起きるのは予感があったのですが、ふたりの関係の変化は僕自身書いていていちばん意外なところでした」
現実に人工知能に小説を書かせるソフトもあり、絵空事ではない。