2020年5月11日 19:00
疲れたあなたにそっと寄り添う漫画『エミ34歳、休職させていただきます。』
古傷をえぐるように本作を描いたのは、そういう切実な思いがあったからだ。ただしおおがさんの経験とエミの大きな違いは、エミはまだ心の病の入り口、つまり引き返せる場所にとどまっているということ。
「私は壊れかけていることに気づきながら、もっと苦しくなって周りの人に『見るからに無理だ』と思われる状態になるまで、自分を痛めつけながら耐えてしまいました。そこまでいってやっと休めたのですが、そうなる前が引き返せるタイミングだったと今は思うんです。同じような気持ちの人がいることがわかったら、少しは心が軽くなるはずと思うから、この本を手に取る気力がまだある人には、壊れる前に気づいてほしい」
エミの予備軍やもっと手前にいる人にとっても、なぐさめず、元気づけたりもせず、ただ寄り添うような本作は、読む薬になるだろう。
「自分を大事にするってよく言いますけど、頑張ったごほうびやアフターケアが多いですよね。でも頑張らないでいいし、ごほうびの一歩手前で休んでもいい。それだって自分を大事にすることだと思うんです」
おおがきなこマンガ家、イラストレーター。
著書に『今日のてんちょと。』『いとしのオカメ』『いとしのギー』。