2020年6月12日 20:30
生き残った人の共通点が気になる! 終末世界を描く小説『パライゾ』
デビュー作『厭世マニュアル』をはじめ、現代の若い人の痛々しい自意識を描いてきた阿川せんりさん。第4作となる『パライゾ』は終末世界が舞台というから意外だ。
生き残った人々の奇妙な共通点。彼らの行動を追いかける終末小説。
「3作同じ路線で書いたので、次に前から構想していた全然違うものを短編で書いたところ反応が良く、長編にすることになりました」
人類滅亡小説は数多くあれど、ここまで奇妙なものも珍しい。本作ではある日突然、多くの人々が黒いぐずぐずの物体に変化してしまう。
「最初は消滅する設定も考えたのですが、なんらかの形で残ったほうが面白いかなと思って(笑)」
生き残った人々の行動が描かれる本作。第1章では、秋葉原でぐずぐず化を免れた青年が一人の女と出会い、行動を共にする。
が、言動が不穏なこの女、新たな人間を見つけた瞬間、相手を殺してしまう――。
「実は自分は殺人鬼に詳しいと自負しておりまして(笑)。巻末に載せた参考文献も、新たに買ったものでなく、もともと集めていた本です。例えば連続殺人鬼でも秩序型と無秩序型がいたりする。そのあたりは再読しながら考えていきました」
二人は行動するうち、生き残った人間にはある共通点があると気づく。