2020年6月12日 19:30
裕福な主婦と“悪女”…91歳“伝説漫画家”の愛憎劇から目が離せない!
玉の輿に乗った美也(みや)の幸福と安寧が、中学の同級生・糸子(いとこ)との再会によってじわじわ脅かされていく…。そんな女の愛憎劇が、わたなべまさこさんの『秘密―ひめごと―』だ。
裕福な専業主婦と“悪女”を生きる女。91歳のレジェンドが描く愛・憎・哀。
「最初の発想は、出会った人の人生をためらいなく壊すことに満足感を得るような、生粋の悪女の物語でした。けれど、考えるうちに糸子の背景が見えてきました。タイトルに込めた“秘密”が何かは徐々にわかっていただけると思います。私自身もそれに思い至ったとき、彼女が人間として哀れでならなくなりました」
見た目も地味で女性的な魅力に乏しかった糸子だが、次第に「魔性」的なつかみどころのなさが開花していく。
とりわけ、彼女が放つ体臭は独特らしい。それに美也の夫や弟は翻弄されていくのだが…。
「女性はそれを異様な臭いだと感じ、男性はえもいわれぬ匂いだと思う。彼女の武器のようなものですね。それがどう展開に関わっていくのかも読んでいただけたらと思います」
人間心理の綾も描かれる白熱のサスペンス。全14回で完結する最後まで、目が離せない。
絵のタッチもミステリアスで、ひと目でわたなべさんの作品だとわかる。