くらし情報『長澤まさみの毒母ぶりに注目! 映画『MOTHER マザー』の魅力』

2020年7月6日 19:30

長澤まさみの毒母ぶりに注目! 映画『MOTHER マザー』の魅力

やがて成長した周平(奥平大兼)にも母親らしいことをするどころか、歪んだ愛情で支配する一方で、ときには恋人や友達のような存在として頼っているようなところもある。子供の未来など考えず、ただ独占していたいだけに見える秋子は、“毒母”という言葉で簡単には片付けられないほど。

けれども、そんな母親でも、子供にとっては大切な存在。秋子という人間が理解できなければできないほど、母親という存在の大きさや、母と子の絆について考えずにいられなくなるのが、この作品の面白いところ。それもキャストが迫真の演技を見せてくれているからこそ。秋子の身勝手さに絶句させつづける長澤はもちろんのこと、阿部は久々の“クズ”ぶりで驚かせつつ、遼の身のこなしの軽やかさにさえも、この男の薄っぺらさを感じさせて、なんと魅力的なことか。出会いや再会のシーンで披露するダンスのみならず、ちょっとした動きにも滲む愛嬌がたまらない。

そして、16歳からの周平を演じる奥平大兼。
過酷な日々のなかで芽生えた未来への希望の芽を摘み取られてもなお、母親や幼い妹を支えようとする周平の選択が、せつなくてたまらない。作品の世界はヘビーだけれど、初めてのオーディションで、この難しい役を手にした新星のデビューを目撃することができるのは、映画好きにはたまらない幸せだ。

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