2020年8月13日 19:40
難民から王者へ…強制送還の危機から逃れるために少年が起こした奇跡の実話
なので、演技の経験はなかったんですが、彼らを信じ、僕が彼らのエモーショナルな部分を引き出せるように意識しました。それが、僕にとっては一番大きな仕事だったと思います。
素人俳優を起用したことが第一の賭けだとすると、第二の賭けはチェスを映画にしなければいけないことでした。というのも、チェスの対局を長々と映すのはボクシングを映すのとは違って、観客が退屈するリスクが大きかったからです。そこで至った結論は、俳優にフォーカスすること。そうすることで、よりおもしろさを伝えられることができたと思っています。
俳優たちとは時間をかけてわかり合うことができた
―ファヒムを演じたアサド・アーメッドくんは、演技初挑戦とは思えないほどで、驚かされました。
監督本当に彼は素晴らしかったと思います。
私たちは何か月もの間、スーパーや道で子どもたちを探していたんですが、なかなかリアルにファヒムと感じられる少年に出会えませんでした。そんなとき、背が高すぎるという理由で諦めた男の子に別れを告げようとしたとき、その子を迎えに来ていたのが、彼のいとこであるアサドだったのです。
アサドはお医者さんになることが夢だったので、俳優になることはまったく考えていなかったんですが、キャスティングディレクターも「この子しかいない!」