くらし情報『“性差”のゆがみを描く 松田青子の痛烈な「おじさん」批判小説』

2020年8月23日 20:50

“性差”のゆがみを描く 松田青子の痛烈な「おじさん」批判小説

作中で、アイドルは複雑かつ重要なモチーフとして描かれる。

「敬子は女性アイドルに純粋に惹かれながら、その消費構造を手放しでは喜べないことにはっとします。人間は矛盾した生き物なので、女性が見られることで傷ついた心を、今度は自分が見る側に立つことで癒されるというのもあると思うんですね。私自身も実在のアイドルをモデル化して小説に登場させている時点で、やはりそこは綺麗事にならないように、自覚と自戒が伝わるような、ブーメランが自分にも返ってくる文章構造と書き方を心がけました」

それでも本書に描かれた世界に、希望を見つける人は多いだろう。

「SNSなどで女性を取り巻く問題が可視化されたことは気が重くなる部分もあるんですが、敬子の妹が言った〈鬱陶しい霧のようなままの気持ち〉のころよりは、多少は対策も立てられる。繋がれる人もいる。変化は生まれていると感じています」

“性差”のゆがみを描く 松田青子の痛烈な「おじさん」批判小説
まつだ・あおこ作家。兵庫県生まれ。
2013年、デビュー作『スタッキング可能』が三島由紀夫賞および野間文芸新人賞候補に。『彼女の体とその他の断片』(共訳)など、翻訳家としても活躍。

『持続可能な魂の利用』見られることから少女たちが解放された世界と、そこへ至る前史ともいえる女性が生きにくい社会。

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