2020年9月2日 19:30
不幸、事故、襲撃…が子どもを襲う恐ろしさ『かしこくて勇気ある子ども』
もしも子どもを産むとしたらどんなふうに育て、どんな親でありたいか。自分が持つかもしれない未来の子どもについて、想像を巡らせたことがある人は多いだろう。著者の山本美希さんもそのひとり。本作『かしこくて勇気ある子ども』を描くきっかけのひとつが、当時立て続けに起こっていて、そして今も起こり続けている“不測の事態”だった。
「世界中でテロや事件、事故が連日のように起きているのを見て、こういうことが人生を大きく変えてしまう可能性は誰にでもあるのだと感じ、作品に取り込んでみたいと考えるようになりました」
主人公は、初めての子どもを迎えようとしている夫婦。お互いに仕事を持ち、精神的にも自立しているようなカップルで、生まれてくる子どもにどんな習い事をさせたいか嬉々として話し合い、かしこくて勇気ある子どもに育てば、明るい未来が訪れると信じて疑わない。
「私の美希という名前も漢字を説明するときに恥ずかしくなるんですけど(笑)、親は名前ひとつにも希望を込めますよね。
こんなことも、あんなこともできるかもしれないと、期待を膨らませるのは心理として避けがたいのかなと思います」
そんななか妻はテレビであるニュースを見たことで、完璧と思えた幸せの絶頂から引きずり降ろされてしまう。