2020年9月20日 19:00
アルバイト先でのイジメ、パワハラ…悩みを抱える人に贈る『この町ではひとり』
美大受験に失敗した主人公の〈山本さん〉は、突如、神戸でひとり暮らしを始める。いちばんの理由は、〈人生のリセットボタンを押したかったから〉。神戸は、地元の横浜に似た港町。大好きな明石焼きが安く食べられたり、病院の順番待ちにキレた患者に医者が同じ勢いで応戦したりと、初体験の連続に浮かれていた。まさか、ゲームやDVDを扱うお店で始めたアルバイトが、悪夢のような日々への入り口だとは――。『この町ではひとり』は、山本さほさんの実体験をコミック化したもの。
自分のせい、と抱え込みすぎないで。自身の体験からの優しいメッセージ。
「15年くらい前のことです。大人になればなるほど、当時19歳だった女の子に、周囲の大人はなぜあんなひどいことをしたんだろうと思って」
当時のことはブログに詳細にまとめていた。たまに読み返すたびに、怒りや孤独感がぶり返したそう。
「ここにも描きましたが、13年経って、あの町に戻ってみたら、自分が苦しんでいたことなど何も残っていないんですね。私のことも誰も覚えていないと思う。でも私にとっては忘れられない1年で、だからこそ、誰かに聞いてもらいたい、話したいという思いが湧いたんですよね」