タイトルの光の箱とは、現代人の駆け込み寺ともいえるコンビニエンスストアのこと。本作は深夜のコンビニを舞台にしたオムニバスだ。作者のマンガ家・衿沢世衣子さんに話を聞きました。
暗闇の道標となるコンビニにふらりと訪れる訳ありな人々。
「ひと昔前、コンビニを利用するのは若い人などに限定されていましたが、今では地域の老若男女が一番集まるところだったりもします。日々頼っている部分が想像以上にある気がして、そこにフォーカスした物語を作ってみたいと思いました」
ただしこのコンビニは、普通のそれとはちょっと違う。暗闇に浮かび上がる光に引き寄せられるようにやって来るのはまさに今、生と死の間をさまよっている人たちなのだ。
「コンビニも生と死も当たり前すぎるくらい身近で、軽んじられているところがあるのが、まず似ていますよね。
コンビニは誰も起きていないような時間帯でも頼ることのできる場所といえますが、真夜中の心細さと絶対に誰かいるという安心感が、生と死、現実と夢をぼんやり照らす光のイメージと重なりました」
働いているのは無愛想だけど淡々と仕事をこなすコクラと、同じくドライな外国人のタヒニ。彼らもまた、とある秘密を持っている。