2020年10月9日 19:30
レシピを違う角度から楽しめる! 原田ひ香の新作『口福のレシピ』
そんな時代の流れをつかみながら物語が書けたらな、という思いがありました」
読めば家庭料理の変遷とともに、女性の生き方の選択もずいぶん変わったのだと感じる。
「しずえさんは自分の家や奉公先に尽くしている人。留希子はもっと自由で、自分のために生きている。彼女に協力する男性も登場しますが、男性が女性を自然とバックアップできる時代になった、ということも書きたかったですね」
料理アプリの開発に乗り出すが苦心する留希子。やがて実家との間に、トラブルが生じ…。そんな騒動から浮かび上がってくるのは、レシピを考案する人の人知れない努力。
「ナポリタンやハンバーグのような、すでに調理法が確立しているものでも、今はひと工夫加えたり、逆に手軽にしたレシピがSNSでバズっていきますよね。この先も、レシピもその広まり方も、もっといろいろ変わっていくかもしれませんね」
日々の料理とそのレシピを、また違った角度から楽しめるようになる作品なのだ。
『口福のレシピ』品川留希子は駆け出しの料理研究家。料理アプリの開発に苦心するが、生姜焼きのレシピをめぐり、実家の老舗料理学校とトラブルに…。小学館1500円
はらだ・ひか1970年生まれ。