2020年10月16日 19:40
「アイヌはタブーではない」世界から注目を集める新鋭監督が訴える思い
これまではいろいろな理由からアイヌに対して距離がありましたが、それはなんてもったいないことなんだろうと感じましたし、本当にたくさんのことを学ぶことができました。とはいえ、知った気になってしまってはいけないと思いますし、映画に出演していただいたみなさんとの関係性もできたので、アイヌのことはこれからも少しずつ学び続けたいと思っています。
何も知らずに来てしまったことに気づかされた
―そのなかでも、新たに得た気づきとは何ですか?
監督まずは自分の文化やルーツとどう向き合うかという葛藤や悩みは、誰にでも共通して言えることなのではないかということですね。ただ、アイヌの場合は他の多くの民族に対して人数が少ないので、「自分がやらないとその文化がなくなっていってしまう」という危機感の感じ方は違うと思います。
それに比べると、アイヌ以外の日本人である僕たち和人(わじん)はたとえ着物の着方を知らなくても、能や歌舞伎といった伝統芸能ができなくても、それを継承している人が他にいるということがわかっていて、そういった危機感を感じることはなかなかないですから。
―確かにそうですね。監督がアイヌを撮りたいと思われたのは、アメリカに渡ったあと、ネイティブアメリカンについて興味を持たれたときだそうですが、アメリカ人とネイティブアメリカンとの関係性に惹かれるものがあったのでしょうか?
監督まずアメリカではネイティブアメリカンの存在がもっと身近にあり、そもそも彼らの土地を奪っていまの自分たちがいるという認識がしっかりとあるのを感じました。